周牢(チュリ)とは、朝鮮で行われていた拷問の一種です。
もちろん現在は行われていない拷問ですが、韓国では時代劇などで度々使われることがあるため、知名度はそれなりにあるのだとか。
方法
骨を曲げる拷問

この拷問の方法は、大きく分けて3つのタイプに分けられます。
- 鋏形周牢
- 紐周牢
- 腕周牢
鋏形周牢は、両膝と両足の親指を縛りつけ、そのあいだに二本の太い棒を貫通させ、骨が弓のように曲がるまで反対方向に引っ張り、徐々にもとの位置に戻るようにする。
紐周牢は、(中略)、まず両足の指を一束にして縛り、両足のあいだに太い棒を通した後、二人が両方の膝に結んだ紐を反対方向へ引っ張り、両膝がくっつくまで少しずつ近づける。
腕周牢は、腕の骨を脱臼させることである。
出典『朝鮮事情』
それぞれの拷問は使用する道具と苦痛を与える場所が異なりますが、本質的には骨を曲げる拷問であると言えるでしょう。
結果として、犠牲者は骨が砕けたり関節が脱臼したりすることになりますが、そこまですることは求められません。
実際、引用元の朝鮮事情によると、手慣れた執行者なら骨を曲がるようにして押さえつけることが出来るが、経験の浅い初心者がやると骨が即座に骨が折れ、血とともに骨髄が飛び出すとありました。
折れてしまった骨は治療しなければなりませんが、曲げるだけならばしばらく休ませればまた拷問を再開できます。
効率のことを考えれば、骨は折らない方が良いわけですね。

歴史
『朝鮮事情』で報告された拷問の1つ

この拷問の記録は、フランス人宣教師であったシャルル・ダレによって書かれた報告書である『朝鮮教会史』に見られます。
この報告書のうち、序章は朝鮮という国を初めて知る母国の人間に向けて簡単に解説する目的で書かれており、日本では『朝鮮事情』という本として出版されました。
この報告書によると、朝鮮において拷問は一度廃止されたが、キリスト教徒に棄教を強制するための手段として思い通りに使用していだそうです。
新興宗教は迫害される。これは、朝鮮においても例外ではなかったようです。
報告書の中では他にも、熱した鉄を押し付ける拷問や、犠牲者の臀部を棍棒で殴る拷問についても触れられていました。
全体的に、あまり珍しい拷問はないという印象ですね。
唯一、今回紹介した周牢のみが、骨を曲げるという他では見ない特徴を持つ拷問でした。
時代劇でしばしば登場する……らしい

時代劇では拷問シーンが登場することがありますが、これは韓流ドラマや映画においても同じなようです。
そのような場合に、当時使われていた拷問としてはこの周牢が登場するため、少なくとも韓国においては知名度のある拷問なのだとか。
日本で言うところの箒尻や駿河問いのようなものなのかもしれません。
もっとも、私はその手の番組を見ないので、本当なのかは分かりません。
ちなみに、「少なくとも韓国においては」と書いたのは、北朝鮮ではどうなっているのかを調べられなかったからです。
より身近に知っているかも知れませんし、逆に全く知らないという可能性も否定できません。
知ってる人はご一報ください。
