「ソ連では拷問が行われていた」と言われたら、大抵の人はそうだろうなと普通に納得すると思います。
実際、当時の政府はスパイ等を発見するために拷問を行なっていました。
数ある拷問の中にはくすぐり責めなんてマニアックなものもあったということは、以前に解説した通りです。
そして今回、新たな情報として、どうやらソ連では木馬責めらしき拷問まで行われていたらしいという情報を掴みました。
その情報源が、上の画像の本『女囚への残酷な拷問』です。
ソ連の監獄を体験した外国人記者の記録
本のタイトルからして尋常の内容でないことはわかってもらえると思いますが、その認識はおそらく正しいです。
この本は体験記で、著者であるエリノア氏がソ連で実際に(無実の罪で)逮捕され、尋問された際の様子が書かれています。
その中で1つ、目を引いた記述がありました。
それは同じ牢屋に入れられていた他の女性から聞いた話で、彼女の受けた拷問についての記述でした。
要約すると、その女性は自白を強要される手段として、犬小屋の屋根のような急な勾配のついた台に1時間以上も乗せられて、降ろされたときには立つことも出来なかったという話です。
これって、木馬責めですよね。
もしもこの描写が真実ならば、ソ連では木馬責めが行われていたということになります。
これはちょっとした発見ですよ。
ヨーロッパから伝わった疑惑
木馬責めといえば、日本で行われたことは我々の業界ではよく知られていることです。
また、スペインにおいて「スペインのロバ」と呼ばれる木馬責めがあったということも、この図書館(ブログ)の読者ならご存知のことでしょう。
この2つは同じような拷問ですが、起源が異なります。
では、ロシアの木馬責めはどうでしょう。
まだはっきりしたことは言えませんが、おそらくヨーロッパで行われていた木馬責め、つまりロバが伝わったものだろうと考えています。
場所が近いですからね。拷問という文化が伝わったとしても不思議ではありません。
となれば、数ある拷問の中から木馬責め1つだけが伝わったと考えるのは不自然で、他にも様々な拷問が伝わっていると考えるのが自然です。
実際、ヨーロッパ全土で一般的に使われていた吊り責めなどは、ロシアでも使われた記録が存在しますからね。
同じように、ヨーロッパから伝わった拷問がロシアで見つかったとしても不思議では全くありません。
ソ連という国の不思議さを再確認しました

今回、ロシアで行われていた木馬責めの情報を発見できたのは全くの偶然でした。
こんな内容の書かれている本だとは全く思っていませんでしたからね。
というより、20世紀の拷問に木馬責めが出てくるという発想がありませんでした。
信仰や迷信が色濃く残っていた時代ならいざ知らず、近代化の進んだ時代にこんな古い拷問具を持ち出すというのが感覚的に不思議です。
もっとも、他のページでは審問椅子らしき拷問が登場する場面もあったので、もしかしたら当時のソ連はそれほど近代的ではなかったのかもしれません。
ソ連は知れば知るほど不思議な国ですが、拷問という視点から見たこの国は、どことなく古い匂いが漂っていました。