審問椅子

審問椅子(Torture Chair)

時代 中世

地域 ドイツ

備考 魔女狩りで使われた有名な拷問具

 

 

形状と使用方法

審問椅子は、鉄の椅子、拷問椅子、ドイツ式椅子、ユダの椅子、棘の椅子など、様々な呼ばれ方をされていた拷問具です。正直、後の世の人がつけたんじゃないかと思われる名称も混じっていますが、気にしないことにします。

拷問椅子の最大の特徴は、なんと言ってもその見た目のインパクトでしょう。座席はもちろんのこと、背もたれ、肘掛け、足置きと、これでもかと設置された棘はこの拷問にかけられる者に対して強い恐怖を植え付けたはずです。この棘の数は審問椅子の種類によって異なりますが、およそ500~1500個ほどでした。

使い方は普通の椅子と同じです。ただ単純に、犠牲者をこの椅子に座らせることがそのまま拷問になりました。また、金属製の審問椅子では座席の下に火をくべることが可能なスペースがあり、犠牲者を熱により責めることも可能でした。近世に使われていていた拷問椅子では、なんと電流を流す仕組みのあるものまで存在したそうです。ハイテクですね。

 

椅子による責めとはニュアンスが異なりますが、犠牲者はこの椅子に座る際、衣服を剥ぎ取られて全裸にされました。これにはもちろん犠牲者に精神的な苦痛を与える効果もあったでしょう。ですが、この拷問具が魔女狩りでよく利用されたということを考えると、目的は別のところにあったように思われます。

つまり、犠牲者の衣服を剥ぎ取る真の目的は魔女の証と言われるアザを見つけることにあったのでしょう。同じ理由で、この拷問具が女性専用の拷問具であるというような解説を見ることがありますが、単に魔女狩りで告発される犠牲者に女性が多かったからだと考えられます。

 

余談ですが、この拷問具は棘の数が多すぎるので、実際に座っても痛くないという話があるようです。確かに、単に座るだけならそれほど苦痛は無いのかもしれません。

が、これは拷問具です。単に座らせて終わりなんてことがあるはずも無く、むしろ座ってからが拷問の本番です。上でも書きましたが、火であぶる電気を流す、その他にも重しを載せたり犠牲者の体を押し付けることで棘を食い込ませることも行われました。また、他の拷問具との併用も行われました。私が見たことのある資料の中には、スペインのブーツを履かされた状態でこの椅子に座らされている犠牲者の絵がありました。棘だらけですね。

 

 

歴史

審問椅子は、ヨーロッパ全土で魔女狩りによく利用されました。そのため、近世に発明された拷問具のように感じますが、実際には13世紀に最初の審問椅子が発明されています。このときの発明者はコンラード・マールブルクという名の異端審問官でした。13世紀と言えばつまり中世のことですが、中世といえば異端審問が盛んに行われていた時代です。魔女狩りで主に使われたと言われているこの拷問具ですが、発明された当時はあまり使われていなかったんでしょうか?

この拷問具はかなり長い期間使われました。ドイツではなんと19世紀まで使われていたとか。他の地域でも、例えばイタリア、スペインでは18世紀まで使われていたことが分かっています。その為、同じ審問椅子の中でも時代によって改良がなされており、電流が流れる審問椅子のような特徴的な物まで誕生することになりました。

現在では使われることのないこの椅子ですが、ドイツのローテンブルク中世犯罪博物館では展示がされています。いつかは見に行きたいですね。

 

 

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