雲仙地獄責め

そもそも拷問というものはロクでもない。ということに異論がある人はいないと思いますが、そんなロクでもない拷問は、宗教と合わさるとよりロクでもないものになります。

どんな手段を使ってでも「改宗すると言わせ」さえすればよい。という条件は、拷問にとって非常に都合の良いものだからです。

これは、日本も例外ではありません。

キリシタン弾圧の際に使われた拷問は、そうでない拷問と比べてより残酷になる傾向がありました。

そんな拷問の一つが、今回紹介する雲仙地獄責めです。

「雲仙地獄」責め

地獄責めなんて言うと恐ろしすぎますが、この拷問は「雲仙地獄」で行われた「責め」という意味で雲仙地獄責めと呼ばれます。

別名として「温泉地獄責め」または単純に「地獄責め」と呼ばれることもありました。

名前から分かる通り、現在の長崎県にある雲仙地獄で行われた拷問です。

熱湯をかける拷問

温泉の湧く雲仙の地で行われたところから察せられる通り、この拷問では源泉の熱湯を利用します。

方法は主に3種類。

・逆さ吊りにして湯壺につける
・柄杓ですくった熱湯をかける
・蒸気穴の近くに立たせて蒸気を浴びせる

バリエーションとして、熱湯をかける前に犠牲者へ刃物などで傷をつけておき、その傷に熱湯をかけるという方法もありました。

単純に硫黄が煮えたぎる熱湯をかけられるだけでも十分すぎるほどに拷問ですが、少しでも苦痛を増やそうという工夫が見られますね。

危険すぎた拷問

先ほど、雲仙地獄責めには3種類の方法があると書きました。

それらは「拷問として使用された順」であり、かつ「苦痛の大きい順」でもあります。

つまり、雲仙地獄責めは拷問として使用され始めた初期は苦痛の大きな拷問であったが、時代が経つにつれて苦痛を抑えるよう改良されていったということです。

もちろん、これは拷問を受ける犠牲者を助ける為ではありません。

むしろその逆で、初期の方法では改宗させる前に死なせてしまうので、なるべく死なないようにと改良した結果です。

実際、逆さ吊りにして湯壺につける方法を受けた犠牲者は「皮膚が剥がされたような状態」になったといいます。

明らかに火傷の症状ですね。

火傷の重症度は焼けた皮膚の深さと面積で決まりますが、熱湯の煮えたぎる湯壺に吊るされ、その体を沈められれば、どんなに幸運だろうと致命的な重傷を負うのは明らかです。

だからこそ、火傷になる範囲を減らすために柄杓を使ってみたり、そもそも熱湯は危険だから煙だけを使うようになりました。

その結果、犠牲者はより長く拷問を受けることになるわけですから、決して喜べることではありませんね。

あまり創作では登場しない拷問

この雲仙地獄責め、私の調べた限りでは知名度の高くない拷問に分類されるようです。

そもそもが雲仙、つまり長崎でしか行われない拷問ですからね。ローカルな拷問であるのは間違いありません。

また、この拷問がキリシタンに対してしか行われなかったというのも知名度が低い理由でしょう。

私が持っている書籍の中では、『日本世界残酷絵画集』という書籍に少しだけこの拷問に対する解説があります。

ちなみに、この本には「絵画集」の名の通り様々な拷問の絵画が載せられていました。

ネット上でよく見かける絵画も数多くあり面白いので、興味のある人は手に取ってみるのも良いでしょう。絶版ですが。

他には、『沈黙』という映画の序盤にこの拷問が登場します。

登場すると言っても、ほんの数分だけでしたが。

しっかりと描写するとなると、火傷の様子などが生々しくなりすぎるから使いにくいのかもしれません。

もしも雲仙地獄責めの登場する書籍や作品などを知っていましたら、是非ともご一報ください。

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