ポー・デ・アララ(Poleiro de arara)とは、ポルトガル語で「コンゴウインコの止まり木」を意味する言葉です。
この拷問を受ける犠牲者を、止まり木で休んでいるコンゴウインコに見立てての命名でしょう。
しかし、犠牲者には休むことなどできなかったはずです。
ブラジルの吊るし責め

ポー・デ・アララは、主にブラジルで行われた吊るし責めの一種です。
苦痛を与えるための拷問というよりは、むしろ犠牲者を拘束するための拷問としての側面が強いように感じます。
止まり木に吊るす

この拷問では、犠牲者を吊るすための細長い棒と、手足を縛るための縄を利用します。その方法は以下の通り。
- 犠牲者を三角座りで座らせる
- 膝の裏に棒を通す
- 棒の下から膝を抱えるように手を回させ、その手首を縛る
- 棒を持ち上げ、犠牲者を吊るす
この方法で、犠牲者は膝の裏に全体重がかかる形で逆さ吊りになります。
膝の裏には棒が食い込み、犠牲者に苦痛を与えます。
また、長時間この体勢が続けば血液が頭部に溜まり、意識の混濁をはじめとした様々な体調不良を引き起こしたでしょう。
さらに、この状態から他の拷問が併用されることも多かったようです。
- 殴打
- 足裏や背中への火あぶり
- 性器や肛門への異物挿入
- 通電
などなど、身動きの取れない犠牲者に対するこれらの拷問は、さぞやりやすかったことでしょう。
吊り責めとしては幼い拷問

もちろん、この拷問は犠牲者に大きな苦痛を与えるものです。そこに疑いの余地はありません。
しかし、吊り責めというジャンル全体と比較した場合、ポー・デ・アララは洗練されていない拷問であると言わなければなりません。
例えば日本やヨーロッパで行われた吊り責めでは、犠牲者を後ろに回した腕で吊るします。
吊るした際に肩の関節が逆方向に曲がり、自身の体重を吊るされた部位で支えると言う苦痛のほかに、関節を責められるという苦痛が追加されてより効率よく苦痛を与えることができるからです。
また、ヨーロッパの吊り責めでは、吊るした犠牲者を数メートルほど持ち上げ、バンジージャンプのように落下させることがありました。
この際、関節には瞬時に脱臼するほどの負荷がかかります。
逆さ吊りにすると言う点から見ても、粗さが目立ちます。
同じ逆さ吊りの一種に日本の穴吊りがありますが、こちらでは犠牲者のこめかみや耳の後ろなどに切れ込みを入れます。
こうすることで、頭に上った血を外に逃し、より長時間拷問を続けることができるようになるからです。
ポー・デ・アララにはこのような工夫がないため、頭に上った血を戻すためにはわざわざ拷問を中断しなければなりません。
これは、効率が悪いと言わざるをえません。
このように、他の拷問と比較すると、ポー・デ・アララにはいくつも改良できる点があることが分かります。
しかし、それらは改善されていません。
まだまだ生まれてから日が浅く、試行錯誤が十分でないと言うことです。
ポルトガルから持ち込まれた拷問

この拷問がよく行われたのは、ブラジルの軍事独裁政権時代、つまり1960年代です。
と言っても、ブラジルで誕生したわけではなく、ポルトガルからの移住が行われた際に持ち込まれた多くの技術の一つであったと考えられます。
ただし、正確にこの拷問の起源を示す情報は今のところ見つかっていません。
現地に行けば何か分かることもあるかも知れませんが、それまでは結論を出すのは保留とします。
英語圏の外の拷問

この拷問の名前「ポー・デ・アララ」はポルトガル語なので、当然英語で調べてもこの拷問に関する情報は見つかりません。
そのため、日本でもこの拷問に関する情報は極めて少ないです。
と言うより、私が知る限りではたった1つしかありません。
日本で唯一の情報源

私の知る限りでは、国内で唯一この拷問について言及していたのは書籍「絶対にやっては行けない拷問マニュアル」です。
この拷問の方法や行われた国、効果などが記述されていました。
また、説明の中で「海外ドラマに登場するらしいが、詳細は不明」と言う記述があります。
しかし今回、私はこのドラマを発見しました。
ブラジルのドラマ『Amor e Revolução』

『Amor e Revolução(愛と革命)』とは、2011年からブラジルで放送されていたドラマのことです。
1960年代のブラジル独裁軍事政権下でのアレコレを題材としたドラマなのですが、タイトルに「革命」が入るだけあって、その内容はなかなか過激なものとなっているようです。
なんせ、今回紹介した拷問が登場しますからね。
私もYouTubeのトレーラーを見ただけなので詳細な内容までは分かりませんが、ポー・デ・アララ 」が登場するシーンは見つけました。
が、最近確認したところ、動画が削除されていました。
ちなみに、このドラマ内では他にも様々な拷問が登場するようです。水責めは見つけました。
ポー・デ・アララが登場するシーンも、ここだけではありません。
興味があるなら、見てみるのをおすすめします。ポルトガル語ですが。
