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拷問等禁止条約

現代では拷問は国際的に禁止されています。当たり前じゃん! と思われそうですが、実はこれ、暗黙の了解で何となく禁止されているわけでは無くちゃんとした条約によって禁止されているということを知っていますか?

この拷問を禁止すると決めている条約のことを拷問等禁止条約と言います。

拷問等禁止条約とは

拷問等禁止条約とは、正式には拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱い又は、刑罰に関する条約と言う名称なのを長すぎるので短縮した呼び名です。名は体を表すと言いますが、この条約が何を定めた物なのかは名前を見ただけで一発で分かりますね。

2017年6月の時点で署名国数は83ヶ国、締約国数は162ヶ国です。世界にある国の数が196ヶ国なので、ほとんどの国がこの条約を守っていることになりますね。ちなみに、日本は1999年に加入しました。

日本と関係のある国で言えば、韓国は1995年に加入、中国は1988年、アメリカは1994年に批准しました。北朝鮮は加入も批准もしていません。

 

加入と批准の違いは?

日本や韓国は加入し、中国やアメリカは批准していると書きましたが、そもそも加入と批准の違いって何でしょう? これは、一言で言ってしまえば条約に対して署名をしたかどうかです。

署名というのは、将来的に条約を批准しますという意思表示です。そして、署名をすると条約の趣旨・目的を失わせることとなるような行為を行なわないようにする義務が生まれます。この条約に署名したからには、拷問を行ってはいけないということですね。

つまり、日本はまだ正式に拷問等禁止条約を守る義務はないんですね。これをどう解釈するかは意見が分かれるところだと思います。日本は拷問を止める気は無いのか! と憤慨する人もいるでしょう。

ですが、思い出してください。日本は憲法で拷問を禁じています(リンク)。条約があろうとなかろうと、日本は拷問を行わないと憲法で決めているわけです。じゃあ条約にも署名すれば良いじゃないかと思ってしまいますが、それが出来ないのには理由があります。

 

代理監獄の存在

さっきも書きましたが、署名するということは条約を守る義務が生じるということです。この守らなければならない義務というのは何も拷問そのものだけではありません。拷問等禁止条約の正式名称を思い出してください。非人道的な又は品位を傷つける取り扱いについても禁止していますよね。日本はこの部分をクリアできていないため、署名が出来ないんです。

日本で非人道的な行いなんてあるのだろうか? と疑問に思うかもしれません。そこで出てくるのが代用監獄という言葉です。物々しい名前ですが、これは容疑者を拘留する場所、つまり拘置所のことを意味します。日本にもありますよね。

これが存在すること自体は問題ないのですが、問題視されているのはその拘留期間です。日本弁護士連合会が作成したレポートによると、日本の拘留所による拘留期間は確かに他国と比べて長いんですよね。→レポートへのリンク

もちろん、日本では理由があって勾留期間を決めているわけですが、拷問等禁止条約に署名するためにはこの期間の長さは問題になってしまいます。

この他にも条約に署名するためには様々な問題があり、法整備が追い付いていないというのが日本が条約に署名できない理由です。とは言え、そもそも拷問を認めていない日本ですから、いずれは拷問等禁止条約を批准する日が来るんじゃないかと私は思っています。

 

条約を破るとどうなるのか?

結論から言ってしまうと、別に何も起こりません

そもそも、条約とは国同士が善意で決めた約束事です。これを守らなかったときに罰を与える機関は存在しませんし、仮にそんなものがあったとしても、条約を破棄してしまえばもう手出しは出来ませんよね。

ただ、だからと言って条約を破っても全く問題が無いのかと言えばそんなことはありません。例えば、しょっちゅう約束を破りまくる友達がいたらどう思いますか? 嫌な気分になりますし、もう二度と信用しないし関わりたくないと思いますよね。国同士でも同じです。国が信用を失えば孤立してしまい、かなり厳しいことになります。

国が孤立するということは大変なことです。日本などは特にそうですが、食料品などを輸入に頼っている国が信用を無くせばどうなるでしょう? かなり大変なことになりますよね。(じゃあ輸入に頼らなくても問題ない国は条約を破るデメリットは無いのかという話になりますが……)

なので、特に罰則はないけどもよっぽどの理由がない限り破るような国は無いでしょうね。

 

条約を破った国

破るような国は無いでしょうねと書きましたが、つい最近拷問をやってた国がありましたよね。こちらの記事でも書いていますが、中国とアメリカです。→現代と拷問

悲しいことに、どちらも条約に加入どころか批准までしている国です。一応、どちらの国も理由があってのことだと弁明しているようですが……やはり不信感はどうしても生まれてしまいます。今も隠れて拷問を行っているんじゃないかとか、他の条約も破ってるんじゃないか、とかとか。

でも、特にお咎めなくやっているようですし、なかなかこの条約のみで拷問を世界から消すのは難しそうです。

 

リンク

拷問等禁止条約の内容は外務省のホームページに全文が載っています。興味がある人は見に行ってみると良いですよ。

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